はじめに
スタートアップ経営者の皆様、「資金調達がうまくいかない」「銀行に事業内容が伝わらない」といった悩みを抱えていませんか?事業への熱い想いはあるものの、それを金融機関に理解してもらえず、資金調達に苦戦する経営者は少なくありません。
今回は、ローカルベンチマーク(ロカベン) を活用した事業性評価により、金融機関との対話を円滑化し、資金調達を実現していく様子を寸劇を交えながら分かりやすく解説していきます。ロカベンは、企業の現状認識や強み、将来ビジョンを「見える化」することで、金融機関との共通言語として機能し、信頼関係の構築に大きく貢献するツールです。
寸劇:田中社長、税理士事務所の扉を叩く
場面1:会議室での絶望
田中社長:「佐藤さん、もうダメかもしれない…3つ目の銀行からも断られてしまった。『事業内容がよく分からない』って言われて…」
佐藤秘書:「社長!そんなことはありません!でも確かに、私たちの素晴らしい事業が全然伝わっていない気がします…どうしましょう社長!」
田中社長:「設備投資の資金が調達できなければ、せっかくの大型受注に対応できない。これは一大事だ!」
佐藤秘書:「これは本当に一大事です!でも、どうすれば銀行の人に分かってもらえるんでしょうか…」
場面2:税理士事務所にて
田中社長:「鈴木先生、実は資金調達で困っていまして…どの銀行も『事業内容が分からない』と言って相手にしてくれないんです」
佐藤秘書:「そうなんです先生!私たちの会社はこんなに素晴らしいのに、全然伝わらなくて…もうお手上げです!」
鈴木税理士:「まあまあ、お二人とも落ち着いてください。そのお悩み、実はよくあることなんです。田中社長、『ローカルベンチマーク』というツールをご存知ですか?」
田中社長:「ローカル…ベンチマーク?聞いたことがないです」
鈴木税理士:「ロカベンと呼ばれるこのツールは、企業の事業内容や強みを『見える化』して、金融機関との共通言語として活用できる優れものなんです。特に資金調達の場面では非常に効果的ですよ」
佐藤秘書:「本当ですか!?それがあれば銀行の人にも分かってもらえるんですか?」
場面3:ロカベン作成セッション
鈴木税理士:「では、実際にロカベンシートを作成してみましょう。まず、田中社長の会社の『顧客提供価値』は何でしょうか?お客様に選ばれている理由は?」
田中社長:「う〜ん、品質が高いことでしょうか…でも、改めて聞かれると明確に説明できないですね」
鈴木税理士:「それでは、業務フローから整理してみましょう。お客様からの注文を受けてから納品まで、どのような流れで進めていますか?」
佐藤秘書:「あ!そういえば、うちは24時間以内の超短納期対応ができるのが自慢です!」
田中社長:「そうだ!しかも、独自の検査工程で不良品は過去3年間ゼロなんです!」
鈴木税理士:「素晴らしい!それこそが御社の差別化ポイントですね。ロカベンシートにまとめることで、これらの強みが金融機関の方にも一目で理解できるようになります」
場面4:銀行への再チャレンジ
田中社長:「鈴木先生に作成いただいたロカベンシートを持って、再度銀行に行ってきました!」
佐藤秘書:「どうでした社長!?今度はうまくいったんですか?」
田中社長:「驚きました!担当者の方が『これなら事業内容がよく分かります』って言ってくれて、さらに『将来の展開も具体的で説得力がありますね』と…」
鈴木税理士:「それは良かったです。結果はいかがでしたか?」
田中社長:「なんと、当初希望していた設備投資資金だけでなく、運転資金として当座貸越契約まで提案してくれました!これで必要なタイミングで投資ができます」
佐藤秘書:「すごいです!ロカベンって本当に魔法のツールですね!」
CEOたちが抱えていた課題の正体は?
田中社長たちが直面していた課題は、「事業の強みや価値を金融機関に効果的に伝えられない」 という、多くのスタートアップが抱える共通の問題でした。
具体的には以下のような課題がありました:
- 事業内容の説明不足:技術的な強みや差別化ポイントが金融機関に伝わらない
- 将来ビジョンの曖昧さ:資金使途や事業計画が具体性に欠ける
- 情報の非対称性:経営者の頭の中にある事業理解と金融機関の理解にギャップがある
これらの課題により、事業性の高い企業であっても資金調達に苦戦し、成長機会を逃すリスクが生じていました。
なぜ、その課題に直面したのか?
スタートアップが同様の課題に直面しやすい原因として、以下の要因が挙げられます:
1. 技術重視の思考 エンジニア出身の経営者は技術の説明に熱中しがちで、ビジネス的な価値や収益性の説明が不十分になりがちです。
2. 日常業務への没頭 事業運営に追われ、自社の強みや競合優位性を客観的に整理・分析する時間が不足している状況です。
3. 金融機関との共通言語の欠如 経営者の感覚的な理解と、金融機関が求める定量的・構造的な情報提示との間にミスマッチが生じています。
田中社長のケースでも、優れた技術力と顧客満足度を持ちながら、それを金融機関が理解しやすい形で整理・提示できていませんでした。
税理士はどう解決に導いたか?
鈴木税理士は、ロカベンを活用して以下の解決策を提供しました:
1. 事業理解の深化と見える化
- 業務フローの整理により、24時間以内の超短納期対応という差別化ポイントを明確化
- 独自の検査工程による品質管理体制を「顧客提供価値」として位置づけ
- これらの強みを非財務シートで視覚的に表現
2. 将来ビジョンの具体化
- 大型受注への対応能力向上という明確な投資目的を設定
- 設備投資による生産能力拡大と、それに伴う売上拡大シナリオを数値化
- 海外展開も視野に入れた中長期的な事業計画を策定
3. 金融機関との対話改善
- ロカベンシートを共通言語として活用し、情報の非対称性を解消
- 事業性評価に基づく融資条件の改善(当座貸越契約の提案)
- 継続的な関係構築による将来の資金調達の円滑化
実践的なポイント:
- 定期的なロカベン見直しにより、事業環境の変化に対応
- 金融機関との面談前に必ずロカベンシートを更新
- 補助金申請時の添付資料としても活用し、公的支援との連携を図る
まとめ
今回の寸劇を通じて、ロカベンが単なる書類作成ツールではなく、事業の本質を見つめ直し、ステークホルダーとの対話を促進する重要なツールであることがお分かりいただけたでしょうか。
田中社長のケースでは、ロカベンの活用により:
- 金融機関との対話が劇的に改善
- 希望額を上回る資金調達を実現
- 将来の投資機会に対応できる柔軟な資金枠を確保
といった成果を得ることができました。
資金調達や事業成長で壁に突き当たった時、一人で悩まずに専門家に相談することの重要性は計り知れません。ロカベンのような効果的なツールを適切に活用することで、あなたの事業の真の価値を正しく伝え、成長資金を確保する道筋が見えてくるはずです。
もしも資金調達や事業の見える化について悩みがあるようでしたら、ぜひ税理士などの専門家に相談してみてください。
